スポーツによるケガ

スポーツ障害は、身体の使いすぎによって痛みや腫れなどが生じたものをいいます。
受傷機転（ケガの発生原因）が明確ではありません。

●スポーツ障害を引き起こす3要素

・オーバーユース

使いすぎによって、身体の一部に負荷がかかりつづける状態です。
スポーツ以外でも「家事での繰り返しの動作（料理、掃除など）」で、関節や筋肉の痛みにつながる場合があります。

・ミスユース

身体の使い方が間違っているため、関節や筋肉に負担がかかる状態です。
「野球での手投げ」「テニスでの手打ち」「接地時に膝が外側（内側）に入る」などが挙げられます。

・ディスユース

準備不足（ストレッチ不足）により、身体に急な負荷がかかる状態です。

3要素にくわえて「基礎体力の不足」「疲労の蓄積」などがあると、スポーツ障害が起こる可能性が高まります。

●野球肩

同じ野球肩でも、タイプによって症状の違いがあります。

・インピンジメント症候群（上腕骨と肩甲骨の衝突によって発生）

腕を上げていくと、一定の角度（60〜120度）で痛みや引っかかりを生じることがあります。

・リトルリーグショルダー（上腕骨骨端線離開）

投球中、投球後に肩や腕の痛みを生じることがあります。

・腱板損傷（肩のインナーマッスルの損傷）

肩の挙上時痛、就寝時の痛み（夜間痛）がみられることがあります。

・肩甲上腕神経障害

肩まわりの痛み、しびれ、疲労感などがおもな症状です。

●テニス肘

肘の外側（上腕骨外側上顆）に圧痛があり、「物をつかんで持ち上げる」「ドアノブを捻る」といった動作時に痛みが生じやすいです。

●シンスプリント

すねの内側（中央から下1/3部分）に、運動の開始時や運動後に痛みを生じることがあります。
悪化すると、安静時に痛みが生じる場合もあります。

●ジャンパー膝

運動時に膝前面（膝蓋骨上部、下部）に痛みを感じ、圧痛や腫脹（腫れ上がること）を生じることもあります。
ほかにも次のようなスポーツ障害があります。

・グローインペイン：股関節の痛み
・アキレス腱炎：ふくらはぎからかかとにかけての痛み
・腸脛靭帯炎：膝外側の痛み

スポーツ外傷は、「足をくじいた」「転倒した」「身体を強くぶつけた」など、一度の大きな外力で発生した負傷のことです。
受傷機転がはっきりとしていることが特徴です。

●スポーツ外傷のおもな発生原因

・コンタクトスポーツ

ラグビーで相手選手と衝突する、サッカーで転倒して手を強くつく、バランスを崩して足首を捻ることなどが原因でケガにつながります。

・陸上競技

短距離走のスタートで太ももの筋肉を痛めることがあります。

・格闘技

打撃を受ける、寝技で関節を強く捻られてしまう場合があります。

・球技

野球のデッドボール、バレーでの突き指、ジャンプの着地時にふくらはぎを痛めることがあります。

おもにスポーツの現場で発生しやすくなっていますが、「日常中の転倒、転落」「交通事故」なども原因のひとつです。

一般的な外傷症状として、疼痛、腫脹（皮下出血斑）、機能障害がみられます。
また、それぞれの外傷で特徴的な症状が生じることがあります。

●骨折

・限局性圧痛：骨折した箇所にピンポイントの圧痛
・介達痛：離れた箇所から振動を加えると、痛みが響く
・外観の変形：折れ曲がる、ねじれる、短縮する

●脱臼

・弾発性固定：外れた関節を押してみても、反発されてしまう
・外観の変形

●捻挫

・損傷した靭帯部にピンポイントの圧痛
・関節の不安定感

●肉離れ

・損傷した筋繊維部分に圧痛があり陥凹（かんおう）や硬結を触れる
・足の肉離れの場合、歩行困難な状態になる

●腱断裂

関節運動が不能になるといわれています。
アキレス腱断裂の場合は、つま先立ちができないといった症状が現れる可能性があります。

●神経損傷

支配領域の知覚・運動障害が起こることがあります。

●血管損傷

外傷により血管が損傷して、大量の内出血が見られます。

皮下の出血斑、変色、圧痛などがみられます。

●対処法

スポーツ障害が疑われる場合、運動量を調整しましょう。
無理な運動をつづけると、状態を悪化させる可能性があります。
運動後には、炎症を抑えるためにアイシングしてください。

・ストレッチ

運動前には、ウォーミングアップでストレッチを行ってください。
また、運動後やお風呂上がりにもストレッチを行い、疲労をためないようにしましょう。

●予防法

・基礎トレーニング

体力が少ないと、ケガをしやすくなります。
基礎トレーニングを怠らないようにしましょう。

・フォームの見直し

同じ箇所を何度も痛めてしまう場合は、身体の使い方が間違っている可能性があります。
フォームを見直して、負担のかかりにくい身体の使い方を習得しましょう。

・生活習慣の改善

7時間以上の睡眠とバランスの整った食事を心がけ、コンディションを常に整えておくようにしましょう。

●対処法

運動中にケガをしたら、速やかにRICE処置を行いましょう。

・Rest（安静）

患部をなるべく動かさないようにします。

・Icing（冷却）

氷水で患部を冷やします。

・Compression（圧迫）

患部をタオルや包帯で圧迫します。

・Elevation（挙上）

患部を心臓より高い位置に挙上します。

痛みや腫れが強い場合、早急に医療機関や整骨院に行って、処置を受けましょう。
放置すると痛みが長引き、スポーツへの復帰にも時間がかかる傾向にあります。

●予防法

・テーピング

テーピングによって関節の固定、筋肉のサポートを行うと、ケガの予防にもつながります。

・ウォーミングアップ、クールダウン

筋肉の硬い状態で運動すると、ケガが起こりやすくなります。
ウォーミングアップ、クールダウンを怠らないようにしましょう。

スポーツによるケガは競技によって特性が異なりますが、オーバーユースや身体の使い方の間違い、タックルによる衝撃といった直接的な外力を受けて起こるケガなどがあります。

痛みがあっても放置している場合や、無理をすることでさらに悪化することもあります。

当院では、症状に合わせた施術を行い、競技の特性に合わせて筋力強化や柔軟性の向上を図り、負傷しない身体づくりを目指します。